不可視型探照灯

制御装置の壊れた探照灯(サーチライト)は、暴走しつつも「何か」を照らし出す。

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テレビの「やらせ」「捏造」問題に対するBPOの見解に愕然

はっきり言います。
この認識ではTVが世間から「嫌われる」傾向にブレーキはかかりません。

さて、昨今起きたテレビ朝日の「ウソバスター!」捏造ブログ騒動についてや、その他「やらせ」に関する事例について、BPOの中で議論をしている。

だが、その議事の中身をつぶさに見ると、背筋が凍るような意見をさらりと言っている ↓
第22回 放送倫理検証委員会(BPO:議事概要/放送倫理検証委員会) より

2. ブログを捏造して放送したクイズバラエティー番組

インターネットで閲覧できる情報のウソを検証しようとするクイズ形式のバラエティー番組で紹介されたブログが、実は、番組の素材として使用するために制作スタッフが作ったものであったという問題。当該局からは、参考にした実在のブログのコピーが提出された。各ブログの放送使用許可が得られなかったので、制作スタッフが6つのブログをネット上に捏造して放送した制作・演出手法の適否を中心に討議された。

<主な委員の意見>
  • ネットもメディアである。テレビというメディアが他のメディアを扱うときの常識の欠如。なぜこういう企画が通るのか。
  • 何で大騒ぎするのか。被害は何なのか、何もないではないか。どこかで歯車が狂ってきている。
  • しかし、捏造といえば捏造というカテゴリーだ。
  • 大した問題じゃないしレベルが低いから放っておけばいいというのとはちょっと違う。番組制作の安易さに対して苦言を呈したい。制作費がないのならば知恵を働かせるのがプロだ。ブログ上のウソを責めるような企画ではなく、他に目を向けて頑張ってほしい。
  • あちこちから捏造と言われると制作者が萎縮し、あれもこれもやめようとなって良い番組が消えてしまう。制作者が萎縮する傾向になるほうが恐い。
  • ネットは個人の書き手に全責任が委ねられ、読む方もそれを前提にするメディアだから、ウソがあるからテレビがそれを叩くという企画自体がおかしいのではないか。
  • 背後にウェブ世界の信頼性という大きな問題を抱えている。放送と通信の一律管理のような、テレビ番組だけで云々できない局面に本質があるのではないか。

以上のような意見交換の結果、ブログの捏造が否定されるべき手法であることは間違いなく、その限りにおいては当該局に反省を求めたいが、細かい部分の見せ方の問題であり、それによって誰かが被害を被ったわけではない。必要以上に捏造と騒ぐと制作者が萎縮するという意見もあり、個別の事案としては取り上げないが、バラエティー論の一環として他の事案と共に改めて検討することにした。

4. 制作スタッフにやらせのインタビューをしたバラエティー番組

ローカル局のバラエティー番組で、出演タレントが街頭ロケで女性の通行人の年齢当てをする。その通行人にはスポンサーが提供する景品が贈られるコーナー企画。ところがインタビューされたのは制作スタッフの女性であった。再放送時に、インタビューされた人の名前と制作スタッフの名前が同じであることに視聴者が気づき、やらせが発覚した。当該局は記者発表をし、社内に調査委員会を立ち上げ、番組を打ち切るなどの処置を取った。

<主な委員の意見>

  • 当該局の対応は過剰反応ではないか。調査委員会を立ち上げてどのようなことが報告されるのだろうか。
  • ローカル局にとって1社提供スポンサーが大切なのはわかるが、視聴者対策よりもスポンサー対策が優先しているのではないか。それに倫理問題が利用されているようにもみえる。
  • インタビュー相手がいないならば、「今日はスタッフに聞きました」で済む話ではないのか。
  • 欧米ではやらせにならなくても日本はちょっと神経質なぐらい厳格にやらせにしてしまう。そこまで目くじら立てて取り上げる気はない。
  • やらせとか捏造という倫理を問うキーワードが便利なものとして流通していて、テレビたたきの便利な道具に使われている。
  • 放送局の営業や代理店は、その番組が買い切りのスポンサーになった瞬間に番組全体がCMであるかのような錯覚を持つようになることがある。その錯覚が問題だ。
  • 通行人にインタビューするくらいのことに手抜きをするべきでない。現場の一人一人が横着であり、その横着さと安直さがまん延しているのが許せない。
  • このようなリアクションでは、局は何も良くならない。視聴者のほうを向いていないし、これでは自らの制作活動への自省がないから、今後、も起きてくるのではないか。

    以上のような意見交換の結果、単純なヤラセではあるが、ロケ現場の選び方から人名スーパーの出し方まであまりにも稚拙であり、悪意すら感じられない。当該局は過剰とも思われる対応をしているが、番組制作の基礎を踏まえて、横着せずに制作してほしいというのが委員会の希望である。単体の番組としては取り上げないが、バラエティー論を議論するときの材料に加えることにした。
 → 私にとっては、この議論すら「テレビ側の内向きな理論」にしか見えない。

危機意識の欠如も甚だしい。

「捏造ブログ」を作ること、それ自身が問題だったはずなのに

「何で大騒ぎするのか。」と騒ぎ自身を矮小化したり、

「あちこちから捏造と言われると制作者が萎縮し、あれもこれもやめようとなって良い番組が消えてしまう。制作者が萎縮する傾向になるほうが恐い。」と、まるで批判をする側が「クレーマー」であるかのごとき発言が飛び出す。

また、やらせの問題についても

「欧米ではやらせにならなくても日本はちょっと神経質なぐらい厳格にやらせにしてしまう。そこまで目くじら立てて取り上げる気はない。 」と、意味のない比較論を持ち出して問題を歪曲化させたり、

「やらせとか捏造という倫理を問うキーワードが便利なものとして流通していて、テレビたたきの便利な道具に使われている。」と、メディア自身が生み出した問題が、いつのまにかテレビへの「攻撃材料」であるかのごとく非常識な発言が飛び出している。

まあ、「TV局の御用聞き団体みたいなもの」と一蹴するのは簡単だが、それでは済まない根本的な「問題認識のズレ」を、この議事録の中に含んでいる。

それは、「番組制作」の姿勢を、「バラエティ番組か否か」で区分けを行い、バラエティ番組を根本的に軽視しているということである。

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2009年05月03日(日) | マスコミ関係 | comment : 22 | Trackback : 0 | 

所詮は身内の庇い合いか:「中川前財務・金融担当相の記者会見問題」関連の雑感

中川前財務・金融担当相の「酩酊会見」とされる問題。
今回は、「酩酊会見」前後に起きたことを解明しないメディアと財務省の行動について焦点を絞り、私の主張をあらかじめ述べるとするならば、以下のようになる。


で、結論を言うならば

という結論に至った。



以下はその結論に至るまでの記事検証である。

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2009年02月21日(土) | マスコミ関係 | comment : 1 | Trackback : 0 | 

常識を踏み越えた先にある「記者の姿」

これからも不定期に続くであろう、「メディア関係者の呟き」第5回。

今回は、「新聞案内人」に掲載されていた鷲田清一氏の文章を紹介する。

もっと厚く、もっと苦々しい文章を(あらたにす:新聞案内人) より
 引用が重なって恐縮であるが、ひとりの記者(読売新聞・丸山謙一記者)の述懐としてどうしても引いておきたい文章がある(高橋シズエ・河原理子『<犯罪被害者>が報道を変える』より)。

 <最初の赴任地で中学生同士の校内暴力事件があり一人が死亡した。病院で関係者が悲嘆に暮れる場面に報道陣は自分一人だけ。校長先生の話を聞いた旨の報告を社に入れると、写真は撮ったか、と問われ、とても撮れそうにない情況であることを報告するものの、「バカ、おまえプロだろ!という言葉を浴びせられる。新人記者である自分は験されているような気になり、覚悟を決めてシャッターを押した。先生たちから刺すような視線が向けられるなか自分は一礼して立ち去るしかなかった。これは新聞記者としてハードルを一つ超えた話とも言いうる。しかし、常識を一歩踏み外したことも間違いない。そんな経験をしながらだんだん均されていく。翌年には漁船の転覆事故で救助された船長が甲板員を失って男泣きする姿をためらうことなくカメラに納めるようになっていた。心の中で自分はプロだからとつぶやきながら。ある種、オウム真理教の信者が一線を越えていった経過に似ている。>
 → 「記者として」一線を踏み越える前に感じたであろう、「先生たちから刺すような視線が向けられるなか自分は一礼して立ち去るしかなかった。」という心は、本来記者が捨ててはならないはずの、最後の良心だと私は考える。

踏み越えてはならない一線を越えた後にあるもの。

それは、報道という商売のために、悲しみに打ちひしがれる人々であっても「ためらうことなく」カメラに納めるようになった人間がそこにいるということだろうか。

メディアがよく使う「道義的に云々・・・」という言葉というものは、恐らく建前上の言葉になる。

本音で語ろうとした瞬間に、メディアは「被害者・加害者問わず情報を漁る」という行動原理は、非人道的ではないかという自問自答に、一瞬にして潰されるのだから。

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2009年02月01日(日) | 特集:メディア関係者の呟き | comment : 1 | Trackback : 0 | 

メディア受難の時代が、今年も幕を開ける。

「インターネット上で流れている情報のウソ・ホントを検証する」コーナーで、こんな稚拙な言い訳をしなければならない事態に追い込まれたという例。

nhk20090111.jpg

テレビ朝日 番組に自作ブログ(NHKニュース:社会)
テレビ朝日系列で10日に放送された情報バラエティー番組の中で、インターネット上の情報として紹介されたブログが、実際には番組のスタッフがみずから作成したものだったことがわかりました。

この番組は、テレビ朝日系列で10日午後7時から放送された「情報整理バラエティー ウソバスター!」です。番組では、「体」や「動物」などさまざまなテーマについての情報の真偽をクイズ形式で検証していました。この中で、インターネット上のうその情報を見破るとして「地下鉄にカーブが多いのは運転士の居眠り防止」、「サケとシャケの呼び名は加工の有無で変わる」などの情報が書かれた6つのブログを紹介していました。しかし、テレビ朝日によりますと、これらのブログはいずれも、番組制作会社のスタッフが番組のためにみずから作成していたということです。これについて、テレビ朝日広報部は「番組で紹介した情報は実際にブログに載っていたものだったが、放送までに作成者の撮影許可が得られなかった」としたうえで、「結果として視聴者の皆様に誤解を与える表現となり、申し訳なく思っています」と話しています。
 → その他の関連報道はgoogleニュース「ブログ テレビ朝日 自作」検索結果を参照のこと。

構造としては、以前TBSが「インターネットの掲示板」を作って批判されたことと全く同じだと思うが・・・

それを人は「捏造」と呼ぶ より
しかし気になるのは、このイメージ映像に書かれた桜庭選手の批判内容の作成過程。

いくら(TBS広報部曰く)イメージ映像とはいえ、実在もしない「桜庭選手批判が掲載された掲示板のようなもの」作成した人は、何を考えながら桜庭選手への批判を書いたのか、気になるものである。
よくよく考えれば、テレビ局の人の記憶だけで、このように巷の声・世間の声のようなものを「イメージ映像」という形で放送されるのはどうなんだろ。事実に基づかないものでも「イメージ映像」ということで放送できる危険性もはらんでいるのだから。
 → 特に後段の部分は、メディアに関わるものとしては「踏み越えてはならない一線」だからこそ、という思いもある。

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2009年01月12日(月) | マスコミ関係 | comment : 0 | Trackback : 0 | 

メモ:メディアと広告業界・企業は「誰」を見据えて、情報を発信するのか。

マスメディアが発信する情報の「最終地点」は、ユーザ(視聴者)である。
広告業界が発信する情報の「最終地点」も、ユーザ(視聴者)である。
そして、広告を出す企業が求めるのは、ユーザ(視聴者)の購買(消費)行動である。

そのユーザに不信感を持たせてしまうと、どうなるのか?

浅田真央選手、キム・ヨナ選手、そして小塚選手・安藤選手・中野選手という「アジアから飛び出した世界レベルのフィギュアスケート選手同士の鍔迫り合い」という、安易な脚色をしなくても十分な素材なのに、余計な思惑を仕掛けてしまうが故の「不信感醸成」であれば、もう目も当てられない。

12/18フジ「とくダネ!」でなぜか月曜日の「優勝した浅田真央をさんざんクサして、キムヨナを応援する」内容を「謝罪」していた件→例によって「電通の陰謀」説がネットに登場(天漢日乗) より

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2008年12月20日(土) | マスコミ関係 | comment : 1 | Trackback : 0 | 

言論の自由と「危機感」

忘れたころにやってくる特集「メディア関係者の呟き」第4回。

発信箱:民主主義を守る=与良正男(毎日新聞:発信箱)
 元厚生事務次官宅連続襲撃事件が起きた時、最初に考えたのは、年金問題をめぐって厚生労働省を再三、批判してきた私たちメディアの報道が、結果的にこうした許しがたい行為をあおってしまったのではないか、ということだった。

 小泉毅容疑者の動機など、まだ、はっきりしない点が多い。だが、この事件にも東京・秋葉原での無差別殺人事件と共通する「自分の人生はこんなはずではなかった」「それもこれも社会が悪い」といった短絡思考が背景にある気がする。「悪い社会」「悪い官僚」という口実をメディアは彼らに与えてしまったのかもしれないと思うのだ。

 無論、私たちは批判すべき点は言論で批判する仕事をやめるわけにはいかない。でも、「人を殺してはいけない」という当たり前の話が通じない時代が来ていることも残念ながら認めなくてはならないのだろう。

 求められているのは、感情的にあおり立てるだけではない、冷静で理性的な批判であり、言論なのだと思う。社会に不満があるのなら、言葉の力で変えていく、選挙での投票を通じて変えていくのが民主主義だ。それを私は繰り返し、言い続けていくしかないと考えている。

 インターネットには今回の犯行を称賛するかのような意見も見受けられる。書き込むのは少数の人だと思うし、本気で書いているとも信じたくない。

 勝手気ままに話すのが「言論の自由」ではないのだ。無責任な発言ばかりになれば、かえって時の権力者により、言論は制限されていくだろう。その点も含めて、民主主義が危機にあることを、私たちは今一度、確認しておく必要がある。(論説室)
 → 初動に「年金テロか」と推測報道するならまだしも、扇動的に報道したことについては、検証されたものが公に発信されていないと思うが。

『勝手気ままに話すのが「言論の自由」ではないのだ。無責任な発言ばかりになれば、かえって時の権力者により、言論は制限されていくだろう。』

その危機感の割には、メディア自身が「言論の自由と責任」を真面目に考えているのだろうか。

2008年11月28日(金) | 特集:メディア関係者の呟き | comment : 0 | Trackback : 0 | 

メディアの連鎖反応が引き起こした「津波」

津波の発生源はこれ ↓

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元次官宅襲撃:事件6時間前にネット書き込み…犯行示唆(毎日新聞:ニュースセレクト)[Web魚拓] より
元厚生事務次官、吉原健二さんの妻靖子さんが刺された事件の約6時間前に、インターネット上のサイト「フリー百科事典・ウィキペディア」に犯行を示唆する書き込みがあったことが分かった。

ウィキペディアは百科事典のネット版で、誰でも新しく項目を追加したり、すでにある記事を自由に編集できるサイト。

書き込みがあったのは18日正午すぎ。「社会保険庁長官」という項目で、「歴代の社会保険庁長官」というタイトルのすぐ下に「×は暗殺された人物を表す。」という
ただし書きがあり、一覧表の中の吉原さんの名前の前に「×」がつけられていた。

 利用者の書き込み履歴によると、「Popons」と名乗る人物(筆者注:あくまでも書き込んだ人物のログインネームであり、犯人ではない)が、18日午後0時27分、「下村健」(故人)の前に「×」を記入。同29分には、この「×」を削除し、「吉原健二」の前に「×」を記入。タイトルの下の「×は暗殺された人物を表す。」は同32分に書き込まれた。

 同日午後11時の時点で、書き込みはすべて削除されている。アクセスの記録などから書き込みがなされたパソコンが特定できるとみられ、捜査本部は慎重に調べている。
 →
 何が問題なのかは、KoshianX氏の記述で一目瞭然 ↓

ログインネームは匿名でも偽名でもないことを知るべきだ(狐の王国) より
新聞では「事件6時間前に書き込み」とあるのだが、実はこの時刻表示がUTC(世界標準時)で、日本時間とは9時間のずれがある。つまり書き込まれたのは事件の3時間後ということになる。

まあここまではしょうがない。勘違いでしたで済む範囲だろうし、UTCを知らないということは無いだろうが、Wikipediaも時刻の隣にUTCと書いてるわけじゃないので、その点について責めるのはかわいそうだろう。

だが毎日新聞はやっちゃいけないことをやっちまった。それは書き込んだ人間のログインネームを紙面に載せちまった事だ。それも犯人扱いという最悪の形で。

おおかたネットについて何も知らない記者が書いたのだろうが、ログインネームは偽名でも匿名でも無いんだよ。
 → 単なる誤報ではなく、「書き込んだ人間のログインネームを紙面に載せちまった事」。パーソナリティがネット上だからといって、現実世界と切り離されている訳がない。

だが、誤報はこの後も、まるで津波が襲ってくるかのごとくテレビ局を巻き込んでいく。

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2008年11月22日(土) | マスコミ関係 | comment : 0 | Trackback : 0 | 

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