まず「事実」を報道すべきでは?

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2006-05-18

今回はこの話題より ↓

日テレ男性アナを書類送検、スカートの中を隠し撮り(読売新聞:社会)
 女子高生のスカートの中を盗撮したとして、日本テレビの男性アナウンサー(26)が、神奈川県迷惑防止条例違反容疑で書類送検されていたことが17日、わかった。容疑を認めており、保土ヶ谷区検は5月2日付で起訴猶予処分とした。

 同県警戸部署の調べによると、男性アナは2月20日午後3時ごろ、横浜駅の自由通路エスカレーターで、前に立っていた私立高校の女子生徒(16)のスカートの中をカメラ付き携帯電話で隠し撮りした疑い。県警鉄道警察隊員が目撃し、戸部署に任意同行した。

 同社総合広報部では「プライバシーにかかわることなのでコメントできない。社としてすでに適切な対応をとっている」としている。
 → 今回、問題にすべきなのは「匿名・実名報道どちらにすべきか」も重要だが、それ以上に2月時点で「何があったのか」という事実報道をすべきではなかったか、という話を私は重要視する。

ちょっと昔の話題だが、たかじんのそこまで言って委員会:「犯罪被害者の実名・匿名報道について」[一気読み専用]の内容より、報道の信頼性について語っている部分を抜粋 ↓

■メディアを信用する「担保」は何か より
▼辛坊
そうじゃないです、そうじゃないんです。あなたが、橋下さんが、『殺人事件が起きてます、と警察が発表しました。読売テレビが、「どっかで殺人事件が起きて、被害者は匿名です」』と、どうしてその事件が「本当に起きた」ということが、あなたは分かるんですか?それは、読売テレビだから信用する訳ですか?

▼橋下
ええ。

▼辛坊
読売新聞だから信頼するんですか?

▼橋下
そうです、そうです。

▼辛坊
それは、既存のメディアを信頼するのは大変有難いけれども、それは日本のメディアが信頼されたる存在だから、市民はそうやって信頼できる。世界のメディアなんて信頼できない、本当に起きてるかどうかなんか分からない。(筆者注:「日本のメディアは信頼できる、世界のメディアは信用できない」という「メディア側の驕り」の話ではない。あくまでも、「既存メディア」の信頼の担保をどこに取ったか、の話。)例えば、じゃあ被害者を匿名にしましょう、と。じゃあ、どっかで少年事件がいっぱい多発してます、と。被害者は、例えば「大阪市大阪府で少年による殺人事件が多発してます。」バンバン報道されたとします。調べてみたら、実は同じ被害者の事件かも分からない。それはね、ひとつひとつ「どこで、何が起きたか」の「誰が」というのは根幹なんです。
■「報道」と「噂話」の違い
▼宮崎
聞いて、聞いて。実名を報道しなければ、属性も報道できない。例えば「どこの地域でどこの住所で起こったか」ということも「家庭内で起こったか、通り魔なのか」っての、そこの理論がよく分からなかった。

▼橋下
できるじゃないですか。「家庭内の事件」とか。

▼辛坊
それを、本当にそれが起きたということを、なぜ橋下さんは「信じる」ことができる訳?

▼橋下
いや、1年365日何百万、何百件、何千件とある事件の中で、じゃあ我々国民がいちいち被害者の名前をひとつひとつ覚えてますか、ということなんですよ。

▼辛坊
大切なことは、もし疑問に思ったときに、市民がそれを検証できる報道かどうか。これが報道か噂話か(筆者注:違いについて)。

▼橋下
それは、・・・まで権限を与えなくてもいいじゃないですか。

▼辛坊
匿名の、匿名の。これは言っておきますよ。「枚方のどっかで殺人事件事件が起きました。誰が被害者なのか分かりません。」これは、報道とは言いません。これは、噂なんです。で、こういう噂は、今、この間から少女に対する事件が起きるとね、ありとあらゆる自治体で山ほど起きています。で、もうね、嘘・虚実入り混じって、もう嫌な監視社会ができあがって。「どこで」「何が」ということがはっきり分からないものは、それは噂話であって報道ではないんです。

■警察発表段階で隠匿されることの怖さ より
▼三宅
だけどね、警察が恣意的にね、出すとか出さないとかってね・・・。大体そういうことに、マスコミがもしへいへいとするようなら、マスコミは辞めたほうがいいですよ。そういうのは、マスコミと何のアレもないんだ。

▼宮崎
それは賛成です、仰るとおり。警察っていうのはね、本当に情報を抱え込もうとするんですよ。昔はね、人権に対する配慮、プライバシーに対する配慮。今は個人情報の配慮という形で、こうやって囲い込もうと囲い込もうとするわけ。これはね、検証可能性を奪いますから。

つまり、警察が認識している時点で被害者であっても、実は犯罪に関わっていたかもしれない。加害者に転じるかもしれないでしょ。そこを検証するのが、本当のジャーナリズムの役割じゃないですか。そういう意味では、この警察の発表の段階は、私は匿名あってはならないと思います。
 → まあ、こんな理論があるわけで。

私は、マスコミ側が「実名」を担保に検証可能な報道をするのは一定のレベルで必要だ、という立場で考えている。(詳しくは現状の報道システムにおける、警察側が発表に「配慮」を持つことの拡大解釈に憂慮する。を参照)

しかし今回のケースは、痴漢行為により任意同行を日本テレビの社員が任意同行を受けたことに対して、2月時点で事件が発覚したにもかかわらず事実関係の報道をしなかった、というのが問題だ。

「日テレが社員の行った犯罪を隠匿した」という批判もできそうであるが、何よりも、痴漢行為に対する「事実検証」の部分を報道しなかったのがより憂慮されてもおかしくない。

つまり、これまでマスコミ側が「被疑者が無罪の可能性」が存在するため、プライバシーの保護という意味で(当然、性犯罪という観点から捉えると、被害者も加害者も実名公表で大きな不利益を被る可能性がある)「匿名報道」でも事実関係を報道したのが、今回はそれすら無いということは、事実関係を最も知る日テレが被害者も被疑者も「匿名」で扱おうとするが故に報道しないというケースを生み出し、その他類似する記事との乖離を生み出したように考えられる。同時に、事実関係の公表と、その他事実関係を内外から収集できる機会を、この時点で捨ててしまったのだ。これは、場合により怠慢と取られる可能性はないのだろうか。

また、「実名・匿名」という視点から考えると ↓

読売新聞の実名/匿名(続)(憂しと見し世ぞSE) より
特に同系列の読売新聞、つい最近も大銀行に媚びへつらって銀行名を伏せたかと思えば今度は身内(みたいなもんでしょう)の犯罪を匿名報道ですか。ますます匿名or実名の基準を明らかにしてもらわないといけなくなりました。
関連記事:読売新聞の実名/匿名(5月13日)
 → そろそろマスコミ業界は、ひとつの指針となるべき「報道ガイドライン」を公表することを考えるべきではないだろうか。

マスコミ業界自身が、保身のために事実を隠匿する機会を少しでも減らすと同時に、自主規制とも捉えかねない誤解を極力排除するためにも重要だと思うんですが。



それにしても、日本テレビの報道だけが、この事件を「17日の昼までに通信社や民放各局がニュースで事件を報じても、同日午後3時現在、日本テレビは番組内で今回の件にまったく触れないまま。(@ZAKZAK)」とスルーしている現状はちょっと酷いんでは?

Comment

小平太 : 2006年05月18日(木) 11:17 URL edit
やや話がずれますが、
最近の日本テレビの体質には性的に異常なものを感じます。

その代表例が、漫画やゲームの性表現規制の主張で、
社会に対して、性表現の有害性を声高に叫びつつ、
日テレ自身は、その検証を女子アナにさせるという、
誰がどう見てもセクハラとしか言いようの無い行動を取っています。

(参考に、その事件のまとめサイトを貼っておきます。)
http://www.ntv-r18.dyndns.tv/


天に唾する……
しん : 2006年05月21日(日) 17:43 URL edit
今日のたかじん委員会で宮崎さんと橋下さんが言及してました。

http://www.youtube.com/watch?v=NJ8GagDkrUc
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