「報道内容の事前検閲拒否に対する報復」を、各メディアは批判できるのか?

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2008-04-23

このニュースこそ、マスコミが本来「表現の自由(報道の自由)に対する侵害だ!」と批判すべき内容だと思うが ↓

母子殺害弁護団 日テレ系列の会見出席拒否(日テレNEWS24:社会)
 山口・光市で99年に起きた母子殺害事件の差し戻し控訴審で、22日午後に開かれた判決後の弁護団の記者会見について、日本テレビ系列の記者が出席を拒否された。
 その理由として、弁護団側は21日、「日本テレビ系列が行った被告の元少年に対する接見取材の内容を事前に教えるように」との弁護団からの要求を拒んだためと説明している。

光母子殺害事件 元少年に死刑判決(広テレ!ニュース:広島のニュース)
一方、ほぼ大方の主張を退けられた形の弁護団は今日午後会見を開きました。その会見の取材を広島テレビをはじめ日本テレビ系列は、拒否されました。これはきょうの判決に先だってきのう、被告の元少年を広島拘置所内で取材し放送した広島テレビに対し弁護団から「取材内容を開示しなければ今後、記者会見から日本テレビ系列はしめだす」との通告がありましたが、私どもが要求を拒んだためです。弁護団は、きょうの死刑判決を不服として、上告しました。今後は、この上告を最高裁がどう判断するかに焦点が移ることになります。

→ 「ビラ配り有罪事件」「奈良放火殺人調書漏洩」「朝日・NHK問題」「犯罪被害者の警察発表」など、マスコミがかつて取り上げた「表現の自由」「報道の自由」に対する危機感を表明する記事は枚挙にいとまがない。

しかし、マスコミが「報道内容に対する事前確認」の拒否をする、というのは決して特別な話ではない。

例えば、拙サイトでも取り上げた話題だと ↓

たかじんのそこまで言って委員会:「犯罪被害者の実名・匿名報道について」[一気読み専用] より
▼橋下
そうすると、その特権をね、全部に与えていいのか。僕は地方でね、ちょっとこの間公演やったときに、インタビュー記事を取られました。僕は「ゲラチェックさせてください。」と。「内容どう書かれるか分からないからチェックさせてください」と言ったら、その地方の新聞社が「編集権がありますから、そんなもの事前に」、僕に「見せるなんてことしません。」ということを堂々と言うわけなんですね。「お前、編集権ってことを分かってんのか」ということを、とうとうと述べました。これが、いち地方の新聞社であっても、こういう頓珍漢なことを言うわけなんです。
 → 報道内容の事前チェックは「編集権」の侵害というのがメディアの理論だ。

その他の意見を取り上げるとしても ↓

取材で聞いたことは無条件で書いて良い(ジャーナリズムとは一体何なのか) より
 世の中の人は、「取材をする時は取材相手に金を払っているんだろう」とか、「取材をした後で原稿を相手に見せてチェックさせてるんだろう」と思っている人が少なくないらしい。これは全くたいへんな誤解でして、原則として取材相手にお金を払っちゃいけないし、原稿を見せてもいけないんです。
 堅気の衆のくせに、自分が取材対象であるにもかかわらずメディア側から金をもらうということでは、発言にバイアスがかかってしまいますから、そんなものを報道しても意味がない。この辺をすごくみんな誤解してるようですね。

「原稿チェックが取材の条件」なんてとんでもない! (ジャーナリズムとは一体何なのか) より
 また企業の側も「原稿を見せなければ取材に応じない」という、とんでもない勘違いをしている会社が少なくないというのが実状です。「原稿チェックが取材の条件です」と、堂々と要求してくるわけですから、こんな企業の反社会性はこの時点で明らかですよ。
 今やメディアは狂っていて、新聞ですら掲載の前の日にゲラを取材先に送ることがあると聞いています。読者に対する裏切りであり、信じがたいことですが、事実です。取材馴れてしている人は、取材が終わった後に、「ある程度形になったところで送ってください」なんてさりげなく言う人すらいるほどです。送らないっつーの!!

日本新聞協会の編集権声明(日本新聞協会:取材と報道) より
3 編集権の確保

 新聞の経営、編集管理者は常時編集権確保に必要な手段を講ずると共に個人たると、団体たると、外部たると、内部たるとを問わずあらゆるものに対し編集権を守る義務がある。外部からの侵害に対してはあくまでこれを拒否する。また内部においても故意に報道、評論の真実公正および公表方法の適正を害しあるいは定められた編集方針に従わぬものは何人といえども編集権を侵害したものとしてこれを排除する。編集内容を理由として印刷、配布を妨害する行為は編集権の侵害である。

報道倫理(テレビ東京:よりよい放送をめざして ) より
<言論・表現の自由を守る>
あらゆる圧力・妨害・干渉を排除して言論・表現の自由を守る。報道の自由は市民から我々に委ねられたものであり、あらゆる圧力から独立した自主的・自立的なものでなければならない。公権力や組織・団体の検閲行為は断固排除する。取材対象者から報道内容の事前チェックを受けるなどの行為は禁止する。


これらのように、マスコミは「記事の事前検閲」に対して非常に大きな抵抗感を持っているのは事実である。

このような事前検閲を、光市母子殺害事件の被告弁護団は行使したようだ。被告少年との拘置所における取材を行った記事については、その「事前検閲」を受けた上で報道された可能性が極めて高い。

具体例を挙げるとするならば、ジャーナリストの綿井氏が取材したTBSのドキュメンタリーなど、一連の少年に対する拘置所でのインタビュー記事は、弁護団による事前チェックを受けた可能性が高いとみなされる可能性を孕んでいるのだ。

この事前検閲を断り、取材内容を報道したNNN系列は報復を受けた。その一方で、NNN系列への報復を報道したテレビ局はNTV以外見たことがない。新聞各紙も、現時点では中日新聞の「日テレと系列局が抗議 弁護団会見に出席できず」以外では見当たらない。

この件を批判せず、または報道せずに、何がマスコミの「報道の自由」なのか!

事前検閲を許さないのなら、マスコミの独立性の為に主張すべきではないのか?常日頃から翳している「報道の自由を守れ!」「表現の自由を守れ!」というのは単なる張りぼてなのか?ダブルスタンダードなのか?目の前にぶら下げられた取材源という「ニンジン」を掲げられたときに、「編集権」というのは簡単に投げ出す程度の存在なのか!?

「法の番人」とも呼ばれる弁護士が振りかざした「事前検閲」に、他のマスコミは無視を決め込むのだろうか?

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