インターネットに「自殺幇助」を転嫁するマスコミ

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2008-04-26

昨今マスコミを賑わせている「硫化水素」による自殺報道。その原因を、新聞・テレビをはじめとするマスコミは「インターネット上の自殺サイト」に押し付けている。

そのようなマスコミの主張を、毎日新聞は端的に表現している ↓

硫化水素自殺 死を誘発するサイトの罪深さ(毎日新聞:社説) より
 硫化水素を使った自殺が目につき出したのは1年ほど前からで、インターネットの自殺サイトで「簡単で確実に死ねる」として生成法が紹介されているため、最近は若者を中心に流行のように広がっている。
 → 「硫化水素を使った自殺が目につき出したのは1年ほど前から」というのは毎日新聞の主張通り。そして、インターネットに硫化水素の生成法が紹介されているのも事実。

しかし、毎日新聞はインターネットを「諸悪の根源」であるかのごとく断罪する ↓

硫化水素自殺 死を誘発するサイトの罪深さ(毎日新聞:社説) より
 戦前の伊豆大島・三原山など時代とともに“自殺名所”も生まれては消えてきたが、インターネットが普及してからというもの、自殺サイトが同じ手段による自殺を広い範囲で誘発させる新しい現象が生じた。

 最近は見知らぬ者同士が練炭で集団自殺を図るケースが相次いでいるほか、自殺願望者が“殺し屋”を募り、実際に請け負った男に殺害される事件まで起きている。命を軽んじる風潮を背景に、自殺へと駆り立てるインターネットの魔力の不気味な広がりに、慄然(りつぜん)とするばかりだ。
 → ここまでくると、さすがにメディアの「独善」っぷりに慄然とするばかりだ。

「インターネットに自殺方法が存在し、その情報が自殺を誘発させた。」というのが毎日新聞の主張であるならば、そのような危険な情報がインターネットにあるということを、大衆に発信したマスコミも「自殺を誘発させた」意味では同罪になる。もしかして、そのようなことすら思いに至らなかったのか?

また、マスコミがインターネットを「諸悪の根源」であるかのごとくの紹介は、後を絶たないもので ↓

死を誘発するマスコミの罪深さ(Meine Sache 〜マイネ・ザッヘ〜) より
マスメディアというのは、ただの情報発信機関ではなく、情報という凶器を振り回す怪物です。いびつな寡占構造により付与されたあまりに大きすぎる影響力が、情報を凶器に変えるからです。

そんなマスメディアがもっとも取り扱いに気をつけなくてはならない危険物のひとつが、自殺報道です。著名人の自殺、流行の自殺…そうしたことは、その事実を伝えるだけで確実に何人かの人間を死に追いやる魔情報です。にもかかわらず、今マスメディアはこぞって硫化水素による自殺を伝え、流行に拍車をかけています。

さらにその自殺流行の責任を、案の定ネットに押しつけています。先日見たNHKニュースでは、薄暗いバックにパソコンのキーを叩くおどろおどろしい映像を映して、ネットの恐ろしさを印象づけていました。
 → インターネットを介した犯罪だと、「薄暗いバックにパソコンのキーを叩く」映像を添付するのは、まさにマスコミの十八番だ。携帯電話を使った犯罪や、携帯電話のメールを使った犯罪が起きても、同じような映像が流れている。単純化も甚だしいものである。

oribe氏も、毎日新聞の社説について触れており ↓

死を誘発するマスコミの罪深さ(Meine Sache 〜マイネ・ザッヘ〜) より
確かにネットは、自殺の形を変えました。生活のさまざまな部分を変えたのと同様に。しかし、今回のような“ブレーク”がネットの力学で起こったと結論づける根拠はどこにもありません。

ネット上には硫化水素を発生させるだけではなく、たくさんの興味深い危険情報が転がっています。しかもはるか以前から。それがなぜ今、硫化水素なのか?

火をつけた犯人は、マスメディアの報道と考える方が妥当です。

確かにネットは危険な爆発物であふれています。しかし突き詰めれば、あらゆる生きた情報というものは、危険をはらんでいるものです。問題はそれに火をつけるかどうか。ネットが危険なもののように感じられるのは、ネットの登場により、実はマスメディアの持つ危険性が表出しやすくなっただけという側面が大きいのです。

ぼくはこれまで、この話題について書くのを意図的に避けてきました。1日わずか数千人の参加者しかいないブログといえども、おかしな流行の拡大に加担したくなかったからです。同じ思いのブロガーは多いと思います。しかしマスメディアは、平然と危険な爆発物に火をつけました。そして何人もの命を奪いました。
 → 「平然と危険な爆発物に火をつけました。」という表現は、まさにその通りだと思う。

さらに、毎日新聞の主張は暴走する ↓

硫化水素自殺 死を誘発するサイトの罪深さ(毎日新聞:社説) より
自殺サイトが自殺の誘因となっているだけでなく、硫化水素が別の犯罪に悪用される可能性も重視し、警察当局は監視に努めて、ネットの開設者やプロバイダーに自粛や削除を求めるべきだ。自殺との因果関係が認められた場合は、自殺ほう助罪の適用なども視野に入れて取り締まりを強める必要がある。自殺サイトに限らず、反社会的なサイトを追放する機運も、盛り上げねばならない。
 → マスコミが最も嫌う「表現の自由に対する、公権力の介入」を、インターネットに対してはやっちまえ!という意見。この社説を執筆した人は、「表現の自由」を守ることについて、マスコミ以外には非常に厳しいですね。

まあ、マスコミへの公権力による介入が見えそうになったら、毎日新聞社会部記者臺宏士氏が執筆された、「失ってからでは遅い表現の自由」のように、身勝手な「メディア規制反対論」でもまくし立てますか?

死を誘発するマスコミの罪深さ(Meine Sache 〜マイネ・ザッヘ〜) より
警察当局は監視に努めて、テレビ局や新聞社に自粛を求めるべきだ。自殺との因果関係が認められた場合は、自殺ほう助罪の適用なども視野に入れて取締りを強める必要がある。自殺報道に限らず、反社会的な情報を追放する機運も、盛り上げねばならない。
 → メディアに対して、このようなオウム返しのごとき「皮肉」を言われるのも当然だと思われる。


[追記]

トラックバックを受けたサイトより、ジャーナリスト・鳥越俊太郎氏の発言が掲載されていた ↓

硫化水素自殺の連鎖:ネット規制より、自らをコントロールできるメディアこそが報道を規制すべきと私は思う(ベンチャー企業社長の挑戦、そして苦闘) より
ネットの情報は発端に過ぎない

 ネットに書かれた方法を見たことで、誰かが硫化水素による自殺を図ったことが発端である可能性が高いことを私は否定しない。しかし、ここまで硫化水素による自殺が連鎖している原因が果たしてネットが最大の原因かと言えば私には疑問符が残る。
 「硫化水素自殺が続く 鳥越「ネット情報見た連鎖」: スーパーモーニング :J-CAST テレビウォッチ」で、鳥越氏はこう述べている。
 
明らかにインターネットで情報を見た連鎖反応、練炭自殺に変わる方法でまるで流行のようだ。社会が病んでいるとしか思えない。

 先に書いたように発端はネットかもしれない。また「ネットに氾濫する有害情報=社会が病んでいる一つの証左」であることも否定しない。しかし連鎖反応、あるいは「流行」という表現が適切かどうかはともかく、硫化水素による自殺が多発している原因が、鳥越氏が指摘する「明らかにネット情報によるものだけ」とは私には思えない。
 → そもそも、「明らかにインターネットで情報を見た連鎖反応」と評しているのに、そんな危険な連鎖反応起こすサイトをマスコミが「公共に向けて紹介」し、「自殺方法を無差別に紹介」しているかのごとき状況に対して、鳥越氏はマスコミの一端を担う者として、またジャーナリストとして責任を微塵も感じないのだろうか?それとも、マスコミは特別扱いされるとでも思ってるのだろうか?

インターネットを「諸悪の根源」ごとく叩くだけで、正義面をするのはもう時代遅れの証左だ。


続きはこちら ↓

続・インターネットに「自殺幇助」を転嫁するマスコミ − 「主張の偽装」と「錦の御旗」 
続々・インターネットに「自殺幇助」を転嫁するマスコミ − 黙認・放置された「遺言」

Comment

名無し探照灯保守要員 : 2008年04月27日(日) 07:09 URL edit
頭が痛くなるような頭の悪さですね。
マスコミが硫化水素を使った自殺を取り上げる頻度と自殺件数の増加の相関を取ってみれば、こういう連中を少しは黙らせることが出来るんでしょうか。
通りすがり : 2008年04月27日(日) 14:13 URL edit
私は大学で情報系の学部に通っていますが、
情報系の学部ですのでやはり、マスメディア出身の講師の方がいます。
その方曰く、「マスコミの思想、表現の自由は個人のそれよりも優先されるべきもので、
マスコミは特別な存在である。」
端的ですが、この様な意の事を述べていました。
通りすがっちゃうかな : 2008年04月27日(日) 14:41 URL edit
難しい事はわからないのですが私の考えとしては

最初からネットで硫化水素での自殺を検索して実行するよりも、
TV等での報道でそのような方法がある事をしってからネットで
詳細を検索して実行する人の方が多いような気がします。

それと、日本のマスコミは
http://www.lifelink.or.jp/hp/jisatsuhoudou.html
このようなモノがあるのは知っているのでしょうか?
ぜひ、一度熟読して頂きたいものです。
とおりすがり : 2008年04月27日(日) 22:24 URL edit
マスコミがネットを批判すると言うことは、マスコミ自身がネットの性質についてを理解しているという事である。
ネットでどんな情報でも単語さえ分かれば調べられる事を。
故に硫化水素の情報を流せば、それを知った者がネットから情報を得て真似をしようとする者が現れるかもしれない事を、報道を公開する前に予想できたはずである。

更にネット検索では本人が知らない単語については調べようが無いのだから、無神経に情報を垂れ流したマスコミが原因である事は明白であると思う。



ちょっと通りすがり : 2008年04月28日(月) 11:51 URL edit
広く流行ったのって、明らかにTVのニュース番組だとかで
「ネットでこのような情報を得た人間が実行に・・・」
とか言い出してからですよね。
かくいう私も毎日ニュースサイトなんかをいくらか巡ってはいますが
この話題について知ったのはやはりTV報道が先でした。

皆さんもおっしゃっている通り、ネットにそういう情報が落ちてたのは事実でしょうが
「ネットで探せば見つかるぞぉ〜」と親切にも皆に教えてくれたのは他でもないTVでしたね。
普通にネットを見てる私のような人間でも知らなかったというのに余計な真似を…
通りすがっちゃう : 2008年04月29日(火) 03:24 URL edit
マスコミは原因物質だけでなくて、それを製造する情報がネット上にあり、あまつさえどういう種類の市販品を使うか、検索キーワードに相当する単語まで報道してしまったところもありますね。
で、「ネットが悪い」「事実を報道するのは正義」。
呆れます。
オフトピック星人 : 2008年04月30日(水) 12:25 URL edit
P2Pソフトによる情報流出の頻発も、似たような構造だったんじゃないかと思っています。
ひとこと : 2008年05月05日(月) 19:36 URL edit
マスコミのことをいろいろ言っている段階はすぎた
もう情報は出回っているのだから

ひとこと : 2008年05月05日(月) 19:59 URL edit
もうマスコミのことをやいのやいの言うのは意味がない
明日でも自分の近所で自殺者がでて巻き添えをくうかもしれない
それはごめんだ、迷惑きわまりない
できれば「方法」が見れないようにしてほしいくらいだ(不可能だろうけど)

だいたい新聞記事から検索語を抜き出して、検索して「方法」が出ているサイトを
探し出して自殺するような人が新聞なんて読んでいるのだろうか?

そういう人は自殺サイトをいつも見ていて、何とか楽に死ねる方法が知りたいと
いつも思っていてサイトから情報を得たんじゃないか?(あくまで想像だが)

マスコミよりも最初に自殺者が出た記事から検索語を抜き出してそこからいろいろな
商品の成分を調べて化学の本も調べておそらくこうだろうと「方法」を見つけ出して
それを自分のサイトなり掲示板なりにだしたひとが一番問題じゃないか

最後に見もふたも無いことをいうが単なる断片的な検索語から「方法」を調べて自殺する
人は結局自殺しちゃうんじゃないだろうか?


>>ひとこと : 2008年05月06日(火) 12:06 URL edit
>>ひとこと

ひとことがふたことになっているが(笑)

「死にたきゃ勝手に死ね。ただし他人に極力迷惑をかけるな。」
と多くの方が思っていることだろう。
今回はテレビを見るだけでほとんど精製法までわかってしまう。自分はおろか他人を殺せるほどの毒ガスがな。
それについて問題視するのは当たり前だし、別に自殺者を止めたくて記事にしてるわけじゃないんだぜ。
こんな最悪な自殺方法流行らすなってことだよ。自粛せずにインターネットのせいだぜ、自分たちは連日連夜
ご丁寧に自殺方法を紹介してくれてな。

更に言えば検閲して削除は最低の行為だ。ここまで来たら情報を知っておいて自衛につとめなければ自分が
危ないからな。対策を熟知してないと二次災害が次々に発生するぜ。
名無し探照灯保守要員 : 2008年05月06日(火) 20:57 URL edit
私利私欲で報道する現在のマスコミなんていらない。
多種多様な見方(偏見)に触れられるネットの存在は自分にとって非常に重要だ。
規制によりこれを阻害されては絶対にいけない。
トーリス・ガーリ : 2008年05月07日(水) 15:03 URL edit
テレビで言ってることを、ピックアップすると

〜続きはWEBで『硫化水素で自殺』を検索!!〜

と言っている?


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