愛媛の教科書問題で訴訟担保費用支払い拒否をまともに報じないマスコミ、費用に怒る原告の自爆

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2005-04-04

[前回のエントリ]
地方紙が教えてくれない、地方の歴史教科書問題の影

愛・蔵太氏のエントリから ↓
俺と同じようなことをやっている人をまた発見したのでご紹介(愛・蔵太の気ままな日記)

言及していたgkmond氏のエントリの話題 ↓
2005-03-31(木)(日々是アンニュイ)
 無用な憎悪は何も生まない。この手の記事にムカつくとしたら、怒りの矛先は、メディアリテラシーに欠ける人々ではなく、それをダシに使って話をややこしくする連中にむけるべきだ。
 → という主張なので、ちょっといろいろと興味がある事を探してみた。

韓国国会議員らが提訴=「つくる会」教科書採択−松山地裁(時事通信:社会)
愛媛県教育委員会が「新しい歴史教科書をつくる会」主導の中学歴史教科書(扶桑社)を採択したことで精神的苦痛を受けたとして、韓国人191人、中国人68人が日本の市民団体「えひめ教科書裁判を支える会」の5人とともに、県教委や加戸守行知事らを相手取り、計1320万円の損害賠償などを求める訴訟を30日、松山地裁に起こした。

 韓国人、中国人の原告は日中韓共通の歴史教材作成を目指す歴史研究者が中心だが、韓国ウリ党の金元雄氏ら国会議員55人も加わった。


ちなみに、この訴訟に関する話題で結審した話題を ↓
教科書採択取り消し訴訟 議論尽くさず結審(愛媛新聞:社会)
 県教委が「新しい歴史教科書をつくる会」主導の扶桑社版歴史教科書を県立中高一貫校などで採択したのは、加戸守行知事の発言が影響しており、政治介入を禁じた教育基本法に反するとして、県内の市民グループらが加戸知事や県教委などを相手に採択取り消しなどを求めた訴訟の口頭弁論が30日、松山地裁であった。沢野芳夫裁判長は判決期日を決めず審理の終結を告げ、双方の主張が明確にならないまま結審した。原告側は「実質的審理をしていない」と反発、判決までに裁判官3人の忌避を申し立てる方針。
 原告側が忌避申し立てをすると、決定が出るまで同裁判は停止する。
 この日は、原告側が裁判のテープ録音を申し入れたが、沢野裁判長は「必要性がない」と拒否。原告から「合理的な説明をすべきだ」と求める意見が相次ぐ中、約30分で閉廷した。


別角度から引用 ↓
韓国国会議員も提訴へ 扶桑社歴史教科書採択(産経新聞:社会)
知事らに賠償求め 愛媛

 愛媛県教委が扶桑社版の歴史教科書を採択したことで「侵略を美化・合理化し、再び加害行為を与えるのではないかという恐怖感と精神的苦痛を与えた」などとして、国会議員を含む韓国人と中国人ら計二百人以上が加戸守行知事らを相手取り、損害賠償を求めて三十日、松山地裁に提訴することを、支援するグループが二十四日、明らかにした。

 参加する国会議員は数十人で、うち八人が提訴日に来日する予定。知事と教育長への面談を求めている。

 歴史教科書の採択をめぐっては、同グループや別の韓国人らが原告となって採択の無効確認などを求め、訴訟を起こしているが、裁判所は韓国人原告に一人五万円の供託金支払いを命じ、原告側は拒否。実質審理に入っていない。また、同県の現職教員ら二人も同様の訴訟を起こしている。


産経だけでは不満なので、朝日も引用 ↓
「えひめ教科書裁判」 実質審理せず結審(朝日新聞:マイタウン愛媛)
原告ら 裁判官、忌避申し立てへ

 松山市の市民団体のメンバーらが、県教委による扶桑社版歴史教科書の採択の無効確認などを求めている「えひめ教科書裁判」 の第8回口頭弁論が30日、松山地裁であり、実質的な審理に入らないまま結審した。 判決の日程は未定。 原告は「審議していないのに、納得できない」 として、担当裁判官3人の忌避を申し立てする方針。

 法廷では、閉廷後も原告の一部が「結審に納得できない」 として、約50分間退廷せずに抗議する場面もあった。

 02年3月から相次いで起こされた三つの訴訟で、01年度と02年度の県立学校での採択に対する無効確認と、損害賠償を求めていた。 しかし、韓国人原告の訴訟費用担保問題や、法廷記録の録音の可否などの議論に時間が取られ、採択の違法性など実質審理には入っていなかった。

 → 愛媛新聞はやる気があるのでしょうか。一部だけでも、朝日・産経ともに訴訟費担保問題(供託金支払い拒否)の現状に触れてますが、愛媛新聞だけはさっぱり触れず、なのは何故だろうか。触れたくない事象なのだろうか。

ちなみに、供託金支払いに関する事について触れた方がいらっしゃったので、それを引用 ↓
4月2日の電突(電話突撃隊出張依頼所 まとめサイト)
また、今回の沢野裁判長の行いは、民事訴訟法第78条が適用されたとしか思えないものです。

(担保不提供の効果)
 第78条 原告が担保を立てるべき期間内にこれを立てないときは、裁判所は、口頭弁論を経ないで、判決で、訴えを却下することができる。
ただし、判決前に担保を立てたときは、この限りでない。
http://www.houko.com/00/01/H08/109.HTM#078
 以上を考えると、どうしても供託金の支払いが行われなかったと考えざるをえません。また、そのことから、貴社が恣意的に、
こうした情報を省く形で記事・社説を発表したと考えずにいられません(担当記者およびデスクの無知という可能性、または原告団が隠匿した可能性もありますので「恣意的」というのも間違いかもしれませんが)。
 → いちおう、これらの根拠となる民事訴訟法第75条にも触れますが、それは後の話題で。


さて、朝日新聞の記事引用を続ける ↓
先行訴訟結審 憤る
韓国人ら264人が提訴 「訴えに耳傾けて」

 「新しい歴史教科書をつくる会」主導の中学校歴史教科書の採択を巡り、韓国の国会議員や中国の歴史学者ら264人が提訴した30日、同じ松山地裁で同教科書の採択取り消しなどを求めていた裁判が実質的な審理に入らないまま結審した。 「採択による痛みに耳を傾けてほしいという韓国のメッセージとは、裏腹の展開になってしまった」。 突然の結審に、傍聴後、記者会見した先行訴訟の原告らは落胆と憤りを隠さなかった。

 原告の代理人らは午後1時半すぎに、同地裁を訪れ、訴状を提出後、声明を読み上げた。

 「私たちを傷つけることが再び繰り返されないよう、提訴に踏み切る」 「県当局・教育関係者と司法府が、この訴えに耳を傾け、心を開いて応えることを強く期待する」。 今回の提訴では、戦後60年、日韓国交正常化40年にあたる今年、中学校教科書の採択が予定されていることも意識したという。

 その約2時間後、先行提訴していた教科書裁判が急きょ結審したことから、夕方に松山市民会館で予定されていたこの日の提訴に関する記者会見では、結審に対する非難の声が相次いだ。

 「えひめ教科書裁判を支える会」 のメンバーは「加戸知事の政治介入が違法か判断することを拒否したものだ」 と批判。 在日コリアンで、原告の一人の都裕史(トユサ)さん(47)=大阪府東大阪市= は「法廷闘争もできないのかと、薄ら寒い気持ちになった」 と憤った。
 → 「加戸知事の政治介入が違法か判断することを拒否したものだ」と仰ってますが、行政が司法に介入できる権力はないと思います ↓
 
■第2節 訴訟費用の担保(法庫:民事訴訟法)より ↓
(担保提供命令)
第75条 原告が日本国内に住所、事務所及び営業所を有しないときは、裁判所は、被告の申立てにより、決定で、訴訟費用の担保を立てるべきことを原告に命じなければならない。
その担保に不足を生じたときも、同様とする。
2 前項の規定は、金銭の支払の請求の一部について争いがない場合において、その額が担保として十分であるときは、適用しない。
3 被告は、担保を立てるべき事由があることを知った後に本案について弁論をし、又は弁論準備手続において申述をしたときは、第1項の申立てをすることができない。
4 第1項の申立てをした被告は、原告が担保を立てるまで応訴を拒むことができる。
5 裁判所は、第1項の決定において、担保の額及び担保を立てるべき期間を定めなければならない。
6 担保の額は、被告が全審級において支出すべき訴訟費用の総額を標準として定める。
7 第1項の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。
 → 小難しい話はよく分かりませんが、要するに行政側が司法に申し立てをしたわけであって「司法に介入したわけではない」と思いますが、私の解釈は間違ってますか?朝日新聞さん。

といいつつも、以前この原告団である「えひめ教科書裁判を支える会」は、2003年4月23日に同様の裁判を起こし、訴訟費用担保に対する批判を展開していたようで ↓
松山地裁:韓国の原告に対し、不当な裁判費用担保提供を決定(愛媛の教科書が大ピンチ!)
原告に1人に付き5万円の決定

 被告は、第1回口頭弁論(10月16日)の前日の夕方、法廷で意見陳述を予定していた「運動本部」のチャン・シンさんに対して訴訟費用担保提供申立書を裁判所に提出してきました。これに対して、松山地裁は、11月26日、チャンさんに対して訴訟費用の「担保」として、1人5万円を供託するように求める決定をしました。

 さらに、被告は、残りの韓国人原告10人に対しても12月12日、訴訟費用担保提供申立書を裁判所に提出し、松山地裁は、今年1月9日、訴訟費用の「担保」として、1人5万円を供託するように求める決定をしました。

ちなみに、法的根拠も掲載していた ↓
下記が、被告の申立と裁判所の決定の法的根拠

民事訴訟法 第75(担保提供命令)
1項
 原告が日本国内に住所、事務所及び営業所を有しないときは、裁判所は、被告の申立てにより、決定で、訴訟費用の担保を立てるべきことを原告に命じなければならない。

この法律をこのように批判 ↓
 この被告の申立は、裁判の内容には一切関係ありません。原告に対する嫌がらが目的の卑劣な申立です。
 加戸知事や吉野内教育長らは、自らは違法を犯して採択を行い、裁判費用は私たちの血税の公金でまかないって弁護士に雇い、法廷に出てきません。そして、一方、原告の私たちらには、裁判費用を事前に払えという申立を行っているのです。全く卑劣としか言いようがありません。
 → いきなり引用した民事訴訟法第75条の歪曲引用による印象操作?

 また、松山地裁の当裁判担当の上原裁判長らは、この申立を鵜呑みにして、前記のような決定をしているだけではありません。
 第1回口頭弁論の中で、私たちは、この急な申立に対して、被告に対して抗議しました。上原裁判長も、被告側からの担保提供申立書には、訴訟費用の額が算定されていないと、書面での提出を求めました。この被告の書面を原告にも示し、それに対する原告の意見を求め、それらを見て裁判所が決定するとの主旨の発言をしていました。しかし、裁判官は、被告からの上申を原告に示さず、原告にも意見を求めず一方的に決定したのです。
 その理由は、被告が裁判所に金額などを一任すると上申してきたからだと言うのです。この上申書も原告の私たちに送られていないまま、突然、決定がなされたのです。
 → ちなみに、上記の事象を『「訴訟行為を行いたいのなら、銭をはらえ!」との嫌がらせが目的の申立』『偏狭なナショナリズムから民法75条の主旨を悪用した申立』『差別を助長し、外国人の裁判を受ける権利を奪う申立』という風にタイトルを銘打ち、「民事訴訟法という法に則った手続き」を批判している。まあ、そんな文句はどうでもいいが
 私たち原告は、この決定とその方法に対して、第2回口頭弁論で、約束違反を抗議しその理由をただしました。
 この決定は、法務省大臣官房訟務企画課「最近の事例では聞いたことがない」(朝日新聞、1月23日)という特異な決定です。また、「乱用は権利侵害、民事訴訟法で、海外居住者からの担保提供を定めているのは、裁判費用を回収できないことを想定しているからだ。しかし、乱用すれば、外国人が日本で訴えを起こす権利を侵害する可能性も出てくる。」相場達雄・大阪経済法科大学客員教授(弁護士)の話(朝日新聞、1月23日)ように、全く不当な決定です。
 → 「乱用は権利侵害、民事訴訟法で、海外居住者からの担保提供を定めているのは、裁判費用を回収できないことを想定しているからだ。しかし、乱用すれば、外国人が日本で訴えを起こす権利を侵害する可能性も出てくる。」という根拠を用いて「(訴訟費用の担保申し立ては)全く不当な決定」というのは、要するに、行政も司法も「民事訴訟法を守るな」とでも言いたいのだろうか?

まあ、いろいろ書いたが、論点を絞って『訴訟費用の「担保」として、1人5万円を供託するように求める決定をしました』ということに対し、不満を示しているようなのだが ↓
えひめ教科書裁判の現状
この供託金額は、予想される訴訟費用の総額を基準にして金額が決められますが、5万円という金額は、実際の訴訟費用からかけ離れた不当な金額〔5万円×64人(韓国原告)+5万円×252人(日本人など残りの原告)=1580万円〕です。裁判長は、この5万円の金額の根拠を明らかにしていません。
 → 5万円、って今回と同様な金額だな、と考えた。

ちなみに各訴状における申し立て事項の比較 ↓
2002年度教科書違法・違憲採択への損害賠償請求事件(えひめの教科書が危ない!)
( 請求の趣旨 )

1.  被告愛媛県教育委員会が、2003年度開校の県立中高一貫校の中学歴史教科書に、扶桑社版「新しい歴史教科書」(以下『「つくる会」教科書』という)を採択したのを取り消せ。
2.  被告らは各自、原告それぞれに対し、金1000円および、2002年8月15日より完済までの間、年5分の割合による金員を支払え。
3.  被告加戸守行は、原告らに謝罪し教育基本法10条の遵守を誓約する旨、愛媛新聞の1〜3面のいずれかの目立つ紙面に、たて7cm、よこ5cm以上の大きさで広告を掲載せよ。
4.  被告愛媛県教育委員会は、原告らに謝罪し、上記3と同程度の紙面に、教育基本法の尊重・遵守を県民に誓約する反省広告を掲載せよ。
5.  訴訟費用は被告らの負担とする。

との判決、および2項について仮執行の宣言を求める。

韓国国会議員55名を含む韓国・中国原告ら264名提訴 訴状
(請求の趣旨)

1.訴訟代理人に委任した原告の請求の趣旨は、別紙1のとおり。
2.その他の原告の請求の趣旨は、別紙2のとおり。

別紙1 請求の趣旨 

1.被告らは、各自、原告それぞれに対し、金10,000円および、2002年8月15日より完済までの間、年5分の割合による金員を支払え。
2.被告らは、原告に対し、別紙3記載のとおりの謝罪広告を韓国及び中国発刊の日刊紙のそれぞれに別紙4記載の条件で各1回掲載せよ。
3.訴訟費用は被告らの負担とする。

との判決および1項について仮執行の宣言を求める。

別紙2 請求の趣旨

1.被告らは、各自、原告それぞれに対し、金10,000円および、2002年8月15日より完済までの間、年5分の割合による金員を支払え。
2.被告らは、原告に対し、別紙5記載のとおりの謝罪広告を、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、産経新聞の各日刊紙に、別紙6記載の条件で各1回掲載せよ。
3.被告は、韓国原告及び中国原告らに韓国公営テレビKBSと中国国営テレビCCTVをとおして謝罪文(別紙3)を読み上げ、その他の原告に対して、NHKテレビをとおして謝罪文(別紙5)を読み上げよ。
4.訴訟費用は被告らの負担とする。

との判決および1項について仮執行の宣言を求める。
 → ほとんど同じような内容?

ちなみに、時事通信が、冒頭の記事で「計1320万円の損害賠償」と書いていたが、これを訴訟を起こした人間の総数(264人@えひめ教科書・・・の発表)で割ると↓

13,200,000 / 264 = 50,000

えーと、損害賠償額を人数で割った数になりましたが?もしかしたら、ニュースソースが分からないけれども、2003年に訴えた際の訴訟担保費用5万円も、同じ根拠で算出されたのか?という疑問が湧いてきた。

そもそも、「訴訟担保費用は不当な設定金額」とか言いながら、実は自ら訴訟する人員の総数を多くして、賠償額を自ら高くなるように設定して、最終的には自爆してるのか?とか考えたが。

Comment

kaim : 2005年04月04日(月) 09:54 URL edit
この訴訟費用の件、全くノーチェックでした。
単に「ろくな審議もせずに結審」ではないんですね。結審に至る経緯を詳報すれば解ける誤解もあるはずなのに。
e_r_i_c_t : 2005年04月09日(土) 11:29 URL edit
全国紙も地方紙も、この問題に関する背景はやや手詰まり感がありますね。
何気に、一社だけを責めるような話ではない感触もあります。

また、機会があれば取り上げてみようかと思ってます。
: 2006年02月15日(水) 11:28 edit
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