コンパクトな記事から、全容も具体的時系列も読めない例

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2005-04-07

共同・読売の記事から「何の事象を指しているか答えろ」と言われても無茶だよ、という話題。

第一ヒント ↓
地方公務員の活動に罰則 補選にらみ自民が法案(共同通信:政治)
 自民党は、地方公務員らの選挙運動など政治的行為に罰則を設ける地方公務員法など関連法の改正案要綱をまとめた。大阪市職員の厚遇問題などを受け設置された同党の調査チームが6日、要綱を盛り込んだ答申を武部勤幹事長に提出した。

武部氏は「今国会で成立させるべく党内調整に入りたい」と述べ、議員立法による関連法改正案の成立を目指す考えを示した。24日に衆院統一補選を控えており、民主党の有力支持組織である官公労をけん制する狙いがありそうだ。

要綱によると、罰則は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金で国家公務員の例にならった。
 → 元ネタは「大阪市職員の厚遇問題などを受け設置された同党の調査チーム」であり、その一方で政治的駆け引きは「民主党の有力支持組織である官公労をけん制する狙い」という解説。

第二ヒント ↓
地方公務員の選挙活動、自民が罰則規定求める提言(読売新聞:政治)
 地方公務員の厚遇問題を調査している自民党のプロジェクトチームは6日、地方公務員の選挙運動をより厳しく制限するため、地方公務員法に罰則規定を設けるよう求める提言をまとめ、武部幹事長に提出した。
 公務員の選挙運動については、国家公務員の場合、国家公務員法に罰則規定があるのに対し、地方公務員には罰則が設けられていない。また、提言では教育公務員特例法も改正し、公立学校教員の選挙運動にも罰則を科すよう求めている。
 → 「地方公務員法にも、国家公務員と同様に、選挙活動を禁止する」ということしか読めません。その対象が、地方公務員に加えて「公立学校職員」を含めるように「教育公務員特例法も改正」するようだ。ただ、これ単体で読むと「何に起因して、地方公務員に対する罰則規定を設けたか」が読みづらい。

そして、回答に近い第三ヒント ↓
地方公務員の政治活動制限…自民、法案提出へ 民主の基盤、官公労照準(産経新聞:政治)
 自民党は六日、地方公務員や公立学校教員による選挙運動などの政治的行為を制限する目的で新たに地方公務員法などに罰則規定を設けるため、今国会に関連七法案を提出、成立を目指す方針を決めた。同党の「大阪市職員厚遇問題」と「山梨県教職員組合問題」の両調査チームが法案の改正要綱をまとめ、同日、武部勤幹事長に答申した。

 現行法では、地方公務員と公営企業職員は選挙運動が禁止されておらず、罰則規定もない。公立学校教員も教育公務員特例法の「例外規定」により、政治活動が事実上、野放しになっている。

 しかし、労使の癒着体質による大阪市の職員優遇問題や、山教組による組織的な選挙資金集めが発覚。「公務員の政治的行為を放任すれば、中立性が失われ、党派的な偏向を招く」(中谷元・副幹事長)として、政治的行為に対して懲役刑を含めた刑事罰が科される国家公務員並みの制限を設けることにした。

     ◇

 自民党は今年に入り、公務員に関するプロジェクトチーム(PT)を次々と発足させるなど、民主党の有力支持基盤である「官公労」批判に本腰を入れている。「地方分権を進めるためには、『官』の問題点を明らかにしなければならない」(武部勤幹事長)のが表向きの理由だ。ただ、実際は、「公務員問題は民主党の弱み。次の選挙の対立軸となりうる」(中堅議員)との思惑もある。

 自民党は今月、「あきれた官公労の実態−山梨県教組・大阪市職員問題」と題した手帳サイズの小冊子を作製、国会議員や地方支部に配布。山教組が民主党の輿石東参院幹事長、大阪市労連がやはり民主党候補を支援してきた実例を挙げ、「選挙力を背景にした官公労の悪態は、地方分権どころか自治体の崩壊につながりかねません」と問題点を指摘している。

 また、自民党は「公務員制度改革の実行、実現の障害は労組」(武部幹事長)と位置づけ、今年立ち上げたPTは、山教組PTから発展した「日教組問題等調査PT」など、幹事長室所管のものだけで五つに及ぶ。

 今月五日には、過激性教育とジェンダーフリー(性差否定)に関するPTも発足し、「これだけ立て続けにPTができた例は記憶にない」(自民党職員)ほどの“盛況”ぶり。さらに、「公務員給与改革断行を求める若手議員の会」(会長・石田真敏副幹事長)など、今年に入ってからは公務員のあり方に関する勉強会も活発化している。

 これらは「あくまで有志によるもの」(党幹部)とはいえ、代表者には副幹事長が就任する例が多く、党のバックアップを受けているのは明らかだ。小泉純一郎首相も勉強会について「ドンドンやれ」と支持しており、公務員問題追及によって民主党との違いをアピールする作戦だ。
 → 背景には、大阪市の職員厚遇問題、そして山梨教育員組合ともに起因する政治活動問題を指すのか。

共同通信の記事(恐らく地方配信版も?)では、「地方公務員の厚遇問題」という問題に重ね合わせ、「官公労、回りまわって民主党に対する牽制」という自民の選挙対策にも読み取れる記事だ。読売新聞の記事では「公務員の選挙運動について、国家公務員の場合、国家公務員法に罰則規定があるのに対し、地方公務員には罰則が設けられていない」ことを読み取れるが、あくまでも、表面的な概要しか分からない。共同通信の記事を読んだ上で、さらに詳しく読み取れるようになった、という事は否めないから。

最後に掲載した産経新聞。この内容は、デイリー自民の記事内容に加え、その背景まで描いた記事となっている。産経新聞の得意分野(労組問題に対する分野)に対する取材力、もしくは強みがあるため、ここまで大きく踏み込んだ記事が書けたのだろうか、という憶測ができる。

この問題は、以下の4点に各社の焦点が存在する ↓
つまり、地方公務員の厚遇問題に加え、自民党の選挙対策、公務員規定の問題、そして地方分権にまで関係する問題。すべての利害関係が、メリットの方向にベクトルが大きく傾いているために、自民党内でプロジェクトが積極的に走り出していると考えられるだろうか。

多くの記事に目を通さなければ、問題の深遠を抉れない。それを垣間見ることができたいい例だろう。


[参考]
「地方公務員の政治的行為に制限を」 わが党のプロジェクトチームが答申をまとめ武部幹事長に提出 (自由民主党:デイリー自民)
 わが党の大阪市職員優遇問題調査プロジェクトチームと山梨県教職員組合問題対策チームは6日、「地方公務員の政治的行為の制限に関する答申」をまとめ、武部勤幹事長に提出した。答申では地方分権の流れが加速する中で、地方公務員について「これまで以上に地域住民全体の奉仕者として、公共の利益のためにその職務をまっとうしていかなければならない」と指摘。地方公務員の信頼が大きく揺らいだ大阪市の職員優遇問題についてその原因を「強力な労働組合が組織を挙げて選挙運動を行い、市長の誕生に貢献している」として、地方公務員の政治活動に対する制限を国家公務員並みにすることとともに、教職員の政治活動についても罰則を盛り込んだ法改正を行う必要性があることを答申した。
 答申を受けた武部幹事長は「今国会で法改正ができるよう、党内調整を急ぎたい」と応じた。

[参考2]
山教組に関するメモ(pantomimeの日記)
 → 山教組に関する毎日・産経の記事を集約している。今回の報道を読み解く上で、ぜひ参考に。
大阪市問題まとめサイト(大阪市職員厚遇問題)
 → 大阪市職員厚遇問題に関するまとめサイト。こちらもぜひ参考に。

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